護送船団FR77

な二次創作を見かけたのでクリップ。


【軍事】ミリタリー系創作スレ【兵器】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220331328/
より転載


650 :666Squadron:2009/10/12(月) 08:42:14 id:kLqhxt+V
我々の地球とはほんの少しだけ異なる歴史を辿った地球のお話


651 :666Squadron:2009/10/12(月) 08:43:42 id:kLqhxt+V
首相閣下におかれましては、我が国ならびに同盟諸国軍が被っております人的被害については、すでに関係諸機関よりの詳細な報告によりご承知おきのことと存じます。言うまでもなく本職は祖国と女王陛下に忠節を尽くすものであり、今次大戦における我が陣営の最終的勝利については微塵も疑い無きところではありますが、昨今の戦死傷者数の統計を精査するに慄然とせざるを得ないこともまた事実であります。ことに深刻なのが航空兵の損失で、海峡方面は比較的穏やかではあるものの、中東および極東戦域での損失は無視できないレベルにあり、敵占領下の欧州大陸に侵攻する爆撃機軍団の損耗率に至っては、極めて憂慮すべき状態にあると申し上げざるを得ません。去る1940年の春、閣下が下院で発言されました歴史的演説の通り、キリスト教文明の存続が我が国の奮闘に係っている以上、敵に更なる重圧を加え、我が方の勝利をより確実なものとするためには、あらゆる手段を用いるべきであり、敢て伝統的、道徳的観念に由来する諸々の制約を、一時的に撤廃することも必要と愚考致します。故に本職は婦人航空兵採用枠の拡大と実戦部隊への編入を強く進言するものであります。

戦時内閣特別顧問 W・P・リンデマン


652 :666Squadron:2009/10/12(月) 08:45:45 id:kLqhxt+V
月曜の朝

英国海軍航空隊予備義勇兵シャーロット・ホームズ少尉の操縦するグラマンマートレット艦上戦闘機FN142号機は、北海上空1,000フィートを時速150マイルで飛んでいた。
9気筒の星型空冷エンジンが奏でるピストンとプロペラの交響曲を響かせて飛行する米国製単座戦闘機の翼下では、第三次援ソ高速輸送船団FR77が、グリーンランドスカンジナビア半島の間に広がる北極圏の海を、ムルマンスク目指して進んでいる。
船団を構成する全18隻の内訳は、近代的な大型貨物船が15隻、1万6千トン級タンカー3隻。
これらの船が船腹一杯に積み込んだ積荷−戦車と飛行機、そして航空燃料−は東部戦線の全局面を変えるに足ると言われている。
これに巡洋艦2隻、駆逐艦5隻、フリゲート艦、掃海艇、コルベット艦各1隻、そしてホームズの所属する英国海軍航空隊第666戦闘飛行中隊を搭載した、9千トンの商船改造空母グラップラー、計11隻から成る英国海軍第14護送戦隊が随伴していた。

『ハロー<シュガーのS>、こちらストロングマン
無線電話を通してグラップラーの空中戦闘管制官アダムズ大尉が呼びかけてきた。
<シュガーのS>はシャーロットの、ストロングマングラップラーの呼び出し符号だ。
「こちら<シュガーのS>、感度良好どうぞ」
『レーダーに不明機1、方位0−2−0、30マイル接近中』
連合国と枢軸国、どちらの飛行場からもこれだけ距離のある北極圏の洋上で、この方向から接近する航空機は、トロンハイムに基地を置くKG−40のコンドル以外に有り得ない。
フォッケウルフFw200コンドルは、ルフトハンザ航空の26人乗り商業輸送機として作られた4発機で、長距離哨戒機として就役したFw200Cは2千200マイルを越す航続距離を持っている。
軍用機としては武装が弱く、機体強度も戦闘機動を行うにはやや脆弱ではあるものの、長大な航続距離を活かして北海上空を哨戒し、Uボートを誘導するだけでなく、自らも爆撃を加えてくるコンドルは、連合国船団にとってまさしく疫病神と言えた。
だが今回、FR77には空母グラップラーが加わっている。
イラストリアスフューリアスといった艦隊型空母に比べれば玩具のようなものではあるが、これまで陸上機の援護が受けられないエア・カヴァーの空白海域で、Uボートと独空軍機に好き勝手されてきた援ソ船団に、待望の上空直援機が付いたのだ。


653 :666Squadron:2009/10/12(月) 08:47:49 id:kLqhxt+V
マートレットを上昇させながら、シャーロットの目と手は敏捷に動いた。
反射式照準器のスイッチを入れる。
スロットルとミクスチャーとプロペラピッチを調節する。
高度計、対気速度計、ブースト計、コンパス、潤滑油圧力計をチェックする。
機銃を装填―マートレットの翼内に装備されたブローニング機関銃の装弾は、フレキシブルケーブルを介し、シートの左右に並んだレバーを使って手動で行われる―する。
補助翼と昇降舵のトリムタブを調整する。
機銃の試射を行うと、6挺の50口径機関銃が咆哮し、斉射の反動で3.4トンのグラマン戦闘機が震動する。
FAAの標準迷彩を施された戦闘機から放たれた曳光弾が、鉛色の雲が垂れ込める北極圏の空にオレンジ色の軌跡を描いた。
『目標直進、交差方位。速度変わらず』
「了解ストロングマン
ヘッドフォンを通じてアダムズの落ち着いた声が聞こえる。
グラップラーのレーダーに誘導されたマートレットは、兎の巣穴を急襲するバセットハウンドのように雲の中に突っ込んだ。

FN142号機が雲の上に出ると同時に、シャーロットの目の前に、コンドルの巨大な機影が迫ってきた。
距離は500ヤードもない。
まさか北海上空で単発戦闘機出くわすとは思ってもいなかったコンドルの操縦士は、予想外の事態に一瞬の思考停止状態に陥り、急降下して雲に飛び込むための2秒間を空費するというミスを犯した。
一方、時速500マイルの相対速度でコンドルに対進するシャーロットには、攻撃を躊躇する理由は何もなかった。
種っぽい何かが虹色の閃光とともに弾け(イメージ映像)、感覚が鋭く研ぎ澄まされ、思考が冴え渡る。
急接近するコンドルが空中に静止しているかのようだった。
機械的と言えるほど無感動に操縦桿に取り付けられたトリガーボタンを押し込むと、照準器一杯に膨れ上がった4発機の機首に、毎秒60発を超える銃弾が撃ち込まれる。
正面衝突の直前、上げ舵をとってコンドルの背中を掠めたマートレットの操縦席から、ドイツ機の風防ガラスが粉々に砕け散るのを認めたシャーリーは、そのまま上昇旋回に入って後上方からの降下攻撃に移ろうとしたが、コンドルは急激に機首を下げると、あっという間に海面に突入してしまった。
『目標の撃墜を確認、よくやった』
「PEACE OF CAKE(朝メシ前さ)」
FN142号機が船団上空でヴィクトリーロールを打つと、期せずして汽笛の大合唱が起こった。
「お嬢さん方もなかなかやりますな」
「今のところは、だ」
第14護送戦隊旗艦H・M・Sユリシーズの艦橋で、一部始終を見ていたヴァレリー艦長が双眼鏡から目を離して微笑むと、戦隊司令のティンドル提督がむっつりと答えた。


654 :666Squadron:2009/10/12(月) 08:49:30 id:kLqhxt+V
ttp://002.shanbara.jp/jisakue/view/2_3.jp


655 :666Squadron:2009/10/12(月) 08:52:45 id:kLqhxt+V
訂正 ttp://002.shanbara.jp/jisakue/view/2_3.jpg


656 :創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 23:38:25 id:Jvadz8Su
船団護衛もの北。しかもFR77。
"史実"より空母少なめだけどしっかり飛ばしてるからいいや。
この機体が格好良く飛んでいるところは初めて見た気がするw
……ところで、艦載機にロッ(ry

> リンデマン
UPロケットはハズレだと理解してくれてると良いけど。


キャッシュから回収できた文章はここまで。
続きを探して放浪してみたけど元のスレッドは既に落ちているらしく、継続スレッドの捜索も感無し。


――続編ハ何処ニ有リヤ 全世界ハ知ラント欲ス






うん、ところで。
最後のレスは俺か?(チガイマス
駄菓子菓子、和えて硫黄。
UPAAロケットはよいものだー(爆