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スカンジナビア号沈没:1カ月 「引き揚げは困難」専門家ら厳しい意見 /静岡

◇船体折れる危険も
 沼津市の内浦湾で36年間海上ホテル・レストランとして活用された元客船スカンジナビアが、母国スウェーデンに回航中に沈没してから約1カ月がたった。現在同船を保有するスウェーデンの企業は、船体のサルベージ(引き揚げ)が可能かどうかを調査する準備を進めているが、関係者の間では「引き揚げは難しい」との声が多い。専門家の意見などから同船の今後を探った。【浜中慎哉】
 沈没したのは和歌山県串本町の沖合約3キロ。先月同船の状況を調査した静岡市内のシステム開発会社「ウインディーネットワーク」によると、船は水深約72メートルの海底に水平に鎮座した状態で、大きな外傷もなく原形をとどめているという。
 だが、製造後約80年という古い船体が海水につかった状態でどこまで持つか心配する関係者は多い。沼津のホテル時代の元支配人、安楽博忠さん(66)は「このままでは木材が傷み、内装の塗装もすべてはがれるのでは」と話す。
 串本海上保安署によると、同船が沈没した沖合約3キロ地点は潮の流れが速く、今後冬にかけて波が高い日が続く見込み。現在スウェーデン保有会社は、専門業者に委託し船をサルベージできるかどうか調査の準備を進めている。しかし悪天候が続き調査実施の見通しはたっていない。今の状態が続けば、船の傷みが進む可能性は大きい。
 サルベージは可能なのか。大阪市の専門会社「深田サルベージ建設」の担当者は「ワイヤを船に付けクレーンで引き揚げるのが一つの方法だが、船が古いため途中で船体が折れる危険がある。解体して部分ごとに引き揚げる方法もあるが、現場海域の状況から考えて困難。費用も10億円以上かかる。引き揚げは難しい」と分析する。同保安署によると、サルベージが不可能な場合でも、同船が沈没したままの状態でいることは法的に問題はないという。
 その場合、スカンジナビアはどうなるのか。同じ担当者は「船の鉄の部分は海草がつきやすく、魚にとっては沈没船は絶好のすみかだ。良い魚礁になるのではないか」と話している。

10月5日、毎日新聞

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